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【女優・人生本】RURIKO /林真理子 女優・浅丘ルリ子の夢のような人生がここに【概要と感想】


昭和を代表する大女優・浅丘ルリ子の生い立ちから人生を綴った林真理子著の『RURIKO』。


浅丘ルリ子といえば、近年では倉本聰によるテレビ朝日で放送された、ドラマ『やすらぎの郷』『やすらぎの刻〜道』に出演されたことが記憶に新しいのではないでしょうか。本ドラマでは、元夫の石坂浩二との共演が話題にもなりましたね。

本書は絶世の美女として生まれた女優浅丘ルリ子の人生を、林真理子が綴った作品です。

昭和の時代感も楽しめる一冊でした。


ここでは、本書の概要と率直な感想を書きます。

 

 

【女優・人生本】RURIKO /林真理子 女優浅丘ルリ子の夢のような人生がここに【概要と感想】

 

 


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浅丘ルリ子のプロフィール

 

女優浅丘ルリ子のプロフィールから。

<プロフィール>
氏名:浅井信子(あさいのぶこ)
生年月日:1940年7月2日
出生地:満洲国
芸能界入りしたきっかけ:1954年『緑はるかに』の主人公役のオーディション
配偶者:1971年ー2000年 石坂浩二 


浅丘ルリ子、本名、浅井信子(以下、信子と描きます)は満洲国で生を受けます。


信子の父は、浅井源次郎という人物で、第二次世界大戦時には、大蔵省に入省し、その後、満洲国経済大臣秘書として満州へと渡りました。

満州に渡った浅井源次郎は、そこで甘粕事件の甘粕正彦と交流します。

甘粕正彦という人は恐ろしい人だと言われていましたが(実際いろいろあったわけなので…)イケメンで語学堪能、しかも母が芸者という粋さも持ち合わせている源次郎のことを大変気に入っていたそうです。

加えて、甘粕が源次郎にこだわった理由が、当時4歳の娘・信子の美しさでした。甘粕は信子を女優にした方がいい、李香蘭以上の女優になると断言し、成長したら「自分に欲しい」とまで言い出したそうですから相当の入れ込みようです。


けれど信子自身は大人がそんな話をしていたことなど、知る由もありませんでした。

帰国後の一家を支える



終戦後、バンコクからなんとか帰国できたた浅井家でしたが、父の源次郎は、戦後の復興に前向きになれず、仕事もうまくいきませんでした。結果的に家族は貧しい暮らしをすることになります。

バンコクにいたときにはお屋敷に暮らしお嬢様だった信子でしたが、服も満足に買えない日常を送っていました。

そんなとき、伸子は映画のオーディションを受け、見事主役の座を射止めます。

作品は『緑はるかに』。

まだ信子は子供でしたが、撮影のため日活の調布撮影所に通うように。撮影所には宍戸錠、青山良二、堀恭子、芦川いずみらと出会い、友だちになります。

撮影所にいる美しい人たちと出会い、ようやく信子は居場所を得られたような気持ちになります。なぜなら信子は学校ではイジメられていました。甘粕正彦が絶賛するほどの美しさをもつ信子は、普通の学校では異端だったのかもしれません。

ただ『緑はるかに』はそれほどヒットはしませんでした。でも信子の存在感は話題になり、映画会社と契約を交わし、女優への道を進んでいきます。


また浅丘ルリ子という芸名は、この『緑はるかに』の主人公の名前から取ったもの。デビュー作の役名をその後何十年にもわたり使っていくことになったんですね。


この『緑はるかに』には、スター女優の北原三枝が特別出演しているのですが、信子は長身でスタイル抜群の北原三枝に憧れていました。やさしいお姉さんだった北原三枝は、信子を可愛がってくれたそうです。


小林旭との恋と別れ


子役から映画の世界に入った信子は、当時大スターの石原裕次郎に淡い思いを寄せていました。共演、しかもキスシーンがあったことも理由だったようです。

でも、当時の信子はまだ子供扱いをされていたし、それに石原裕次郎には北原三枝という恋人がいました。

やがて、日活で、石原裕次郎と人気を二分する小林旭との共演が増えていった信子は、次第に小林旭に惹かれるように。ふたりは恋に落ちていきます。

 

 


二人は何本もの映画で共演し、いっときは結婚を考えるほどでした。しかし小林旭の女性関係、浅丘ルリ子の仕事への思い、出会ったときが若すぎたことなどから、別れを選ぶことになりました。

その後は共演者と俳優仲間としての付き合いになりましたが、やがて小林旭は美空ひばりと電撃結婚。小林旭の結婚はあまりに突然で、信子は困惑し複雑な思いに囚われてしまう。

けれど信子はやがて美空ひばりと親しく交流するようになり、その関係は、小林旭と離婚した後も続くことになります。

小林旭とは友人として、お付き合いが続きます。

 

石原裕次郎への思い


以前は信子を子供扱いしていた石原裕次郎でしたが、一層美しく成長した信子を共演者として指名することが増えていきます。

『憎いあンちくしょう』『栄光への5000キロ』では、恋人や夫婦役として共演しました。『憎い〜』はヌーヴェルヴァーグを意識したちょっと変わった作品でしたが、当時「新感覚の傑作」などと、高い評価を得ました。


▼浅丘ルリ子がたいそう美しい2作品。なかなかよかったです。

 

 

 

 


この頃、すでに石原裕次郎は北原三枝と結婚していました。信子も恋の相手は続いたのですが、石原裕次郎に対する感情は別格のものがあったのです。

映画監督との関係


女優としての信子に影響を与えた映画監督との恋も、本書では綴られています。


『憎いあンちくしょう』『栄光への5000キロ』(←このときはすでに別れていた)を手がけた監督の蔵原惟繕と信子は当時愛人関係にありました。


蔵原惟繕監督は、高倉健主演の『南極物語』などでも有名。昭和を代表する監督です。

映画の知識や造詣、演技指導から目を強調させたメイクなど、信子はこの彼から俳優として必要なあらゆる知識を得ました。

だけど彼は妻子持ち。信子自身が結婚に関心がなかったのですが、やがて二人の関係は自然と終わりを迎えました。


石坂浩二との結婚生活


石坂浩二とはドラマ『2丁目3番地』での共演で知り合います。石坂浩二は浅丘ルリ子の美しさに夢中になり、すぐにプロポーズ。

 

 


浅丘ルリ子にとって、インテリで美食家の石坂浩二は新鮮な相手でした。

それで二人は結婚をします。

ただ、その結婚生活はそこまで幸せなものではなかったのです。

結婚五年目あたりから、徐々に夫の荷物がなくなっていき、気づけば信子は夫名義の部屋にひとりで住むようになったため、信子も部屋を出て別の場所に暮らすように。

つまり家庭内別居ですらない関係です。石坂浩二にも信子にもそれぞれ恋人がいて、ただ離婚をしていないという時間が過ぎていきました。

そして別居結婚30年近くなってやっと離婚しました。


個人的書評


この本を読んで感じたのは、浅丘ルリ子自身の話というより、当時の日活やテレビ界で活躍した俳優たちを、信子が冷静に見つめた物語になっていると思います。

特に信子が深くかかわったのは、以下の五人の男性たち。

・浅井源次郎(父)
・石原裕次郎(共演相手、恋の相手、憧れの対象)
・小林旭(元恋人、その後は友人と共演相手)
・蔵原惟繕(映画監督、不倫相手)
・石坂浩二(夫、後に離婚)


なかでも多くを占めているのは、石原裕次郎と小林旭です。

このふたりのスターを信子の視線で捉えているところは印象的でした。

小林旭は幼い頃から俳優を目指して頑張ってきたけれど、作家の弟という石原裕次郎は日活から頼まれるようなかたちでこの世界に入った。

やがてテレビの普及で映画ブームが下火になると、小林は映画以外の場所で活路を見出そうとし、逆に石原は独立してプロダクションを作った。そんな二人を対照的と捉えるところは、信子の男性的な視線が感じられる場面でもありました。

 

『黒部の太陽』の成功の後、石原裕次郎はラリーの映画を撮ることになります。そして相手役に信子を指名します。この『栄光への5000キロ』は、モンテカルロ・ラリーに出場する日本人レーサーの話で、信子は裕次郎の妻役とし出演。

そして『栄光への5000キロ』の打ち上げで、信子は石原裕次郎への愛を実感しました。

 

やがて映画からテレビに流れが動き、信子はテレビドラマの共演で石坂浩二と出会う。石坂浩二はこれまで出会った俳優とは違い、インテリで蘊蓄好きな男性で、知り合ってすぐに石坂からのプロポーズで結婚します。

個人的な感想ですが、人生のなかで一番愛していたのは、やはり石原裕次郎で、もちろん小林旭のことも好きだったけれど、ずっと心の中にいたのはやはり裕次郎だった。

石坂浩二との夫婦生活は30年もあったわけで、それだけ語れる部分があるのではと期待したのですが、結婚五年目くらいにはほぼ別居状態だったそう。石坂浩二の女性関係はその頃から察してしたようですが、それも冷静に見つめていたようです。

男女の関係だけではないのでしょうが、長い時間を一緒に過ごしたからといってその人に大きな影響を与えることになるとは限らない。そんなことを考えさせられました。